中学校にあがり、部活に入り友達も増えた。
引っ越してきて約二年、やっと安心して学校に通える日々が始まった。
でも内心、人と違うことを言って
仲間はずれにされ孤独になるのを恐れていた。
外見に対して少々きついことを言われても
友達と違う意見でも向こうに合わせて
ニコニコしていた。
部活中、
突然他クラスの女子が話しかけてきた。
「なーなー、幽遊白書って知ってる?」
Mちゃんは、弟が読んでる少年ジャンプで
その漫画を知ったらしい。
「いい話多いねん!
飛影と蔵馬ってキャラがかっこいいねん!」
と熱く語ってくれた。
彼女は絵が上手く、自分で描いた
キャラのイラストも見せてくれた。
それ以外にも「りぼん」や
少しマイナー?な「おまじないコミック」
などの話題で盛り上がり
そんなに面白いというなら読んでみよう…と
少ないお小遣いで単行本を買い、
私もMちゃんに喜んでもらえるようにと
必死でノートにキャラの絵を描いて
手紙として渡していた。
私はそれまで女の子キャラしか描いておらず、
避けていた男子キャラを描くのは大変だった…
Mちゃんにはイラスト上達法を
いろいろ教わった。
マンガ一冊まるまる模写する、
トレーシングペーパーを使って
キャラをなぞる、
顔のバランス悪くないか
紙の裏からイラストを見る…
(その割には下手なままだけど)
そして別のクラスメイトが購読していた
「ファンロード」で
「同人誌」という存在を知り、
神戸三宮のハンズ行ってスクリーントーンと
ペン先買おう!もちろんアニメイトも行く!」
と私たちは沼に落ちていった。
当時はパソコンも普及しておらず
コンビニのコピー機も
高機能ではなかったので、
お金持ちの友達の家にある
でっかいコピー機を借りて
4人合同コピー誌を作った。
タイトルは、アニメ版幽遊白書OP曲と同じ
「微笑みの爆弾」
使い慣れないGペンと
スクリーントーンを使って、
4人の中で一番下手だから
せめて笑いを取ろうと
頑張って一ページパロディ漫画描いたよ…
あれから20年後、思わぬ出逢いがあった。
結婚して地元を離れ、
長男が生まれ幼稚園に通わせ始めた。
長男のクラスメイトのお父様が、なんと
アニメ版幽遊白書のプロデューサー‼️をされていたらしく
他にも有名な作品に携わっているようなのだ。
何かの行事でご本人と会った時、
「昔たいへんお世話になりました!!
アニメ化決まった時、Mちゃんって友達が
嬉しすぎて泣きながら
家に電話かけてきました!!」
と興奮して熱く語ってしまった。
Mちゃん、今も絵描いてるかな?
久々にあの頃の話したいぞ!